住宅ローンの繰り上げ返済
繰り上げ返済、
するべき?しないべき?
答えは人によって変わります。このページは、あなたが自分で決めるための材料を、順番に並べるためのものです。
先に結論
- 繰り上げ返済が合うかどうかは、家計の状況で変わります。このページでは「する・しない」を勧めません。
- 決めるための材料は4つ。そのうち3つは、通帳や返済予定表など、手元の書類と借入先で確かめられます。
- 4つめの「家のいまの価値」は、ローンの書類にはふつう載っていません。住み替えや売却の可能性がある方の判断に関わる材料です。
繰り上げ返済は、手元のお金で、ローンの元本を前倒しで減らすことです。返したお金は、預金のように引き出すことはできません。だからこそ、「いくらまで返すか」を決める前に、材料をそろえておくことが大切です。
いまは考えなくていいこと
繰り上げ返済を調べると、たくさんの情報が出てきます。次の2つは、「するかどうか」が決まってからで間に合います。いったん横に置いて大丈夫です。
- ネットや窓口での、手続きの操作のしかた
- ネット上の「した・しなかった」という他の人の意見(家計が違えば、答えも違います)
※一方で、返し方の種類(期間短縮型・返済額軽減型)、いくらから繰り上げられるか、手数料は、するかどうかの判断にも関わります。これらは決める前に借入先で確かめてください(下の「4つの材料」の3に入れています)。
繰り上げ返済で、実際に起きること(デメリットも含めて)
「得か損か」の前に、繰り上げ返済で何が起きるのかを3つだけ確かめておきます。
1元本が減り、この先に払う利息が減る
繰り上げ返済したお金は、ローンの元本(借りているお金そのもの)を減らします。利息は残っている元本にかかるため、元本が減れば、この先に払う利息も減ります。
仕組み
繰り上げ返済の返し方には、一般に次の2つがあります。
- 期間短縮型:毎月の返済額はそのままで、返し終わるまでの期間を短くする
- 返済額軽減型:返し終わる時期はそのままで、毎月の返済額を下げる
どちらでも、払う利息の合計は減ります。同じ金額を繰り上げる場合は、期間短縮型のほうが、減る利息は大きくなるとされています。※1
※実際に減る利息の額は、残りの期間・金利・返し方などで変わります。正確な額は、借入先の金融機関で確かめられます。
変動金利の場合、金利が上がれば、元本を減らしておく効果は大きくなります。金利が下がれば、効果は小さくなります。そして、この先の金利が上がるか下がるかは、誰にも分かりません。
2返したお金は、預金のようには引き出せない
いつでも使えるお金が、引き出せない形に変わります。
預金と違い、繰り上げ返済したお金は「やっぱり使いたい」と思っても戻せません。ローンを最後まで返し終えても、繰り上げ返済に使ったお金が戻ってくるわけではありません。進学、車、入院、家の修理。お金が要る場面は、繰り上げ返済のあとにも来ます。
3家を売るときに返す額が、その分少なくなる
ほかの条件が同じなら、残高が減った分、家を売るときに返す必要のある額は少なくなります。ただし、売ったあとに手元にお金が残るかどうかは、実際に売れた価格と、売るときの費用しだいです。
ここが、4つめの材料「家のいまの価値」とつながるところです。あとで詳しく説明します。
判断が分かれるところ(早見表)
繰り上げ返済について、一般によく挙げられる考え方を左右に並べました。どちらの列が多いかで答えが決まるわけではありません。両方に当てはまるのが普通です。
| 見るところ | 繰り上げを考える理由になりやすい事情 | 手元に残す理由になりやすい事情 |
|---|---|---|
| 手元のお金 | 急な出費への備えを残しても、使い道の決まっていないお金がある | 数年のうちに教育費・車・家の修繕など、大きな出費の予定がある |
| 金利 | 変動金利で、金利が上がって返済が増えることが心配 | 低い金利で借りていて、減る利息が小さい |
| 完済の時期 | 完済の予定が退職後で、収入が減ってからも返済が続く | 退職までに完済の見通しが立っている |
| この先も住むか | この家に長く住み続けるつもり | 数年のうちに、住み替え・売却を考える可能性がある |
表の4行目「この先も住むか」は、家の価値と残高の関係によって、選べる道が変わります。ここに、4つめの材料が関わってきます。
決める前にそろえる4つの材料
- 1手元に残しておきたいお金 繰り上げたあと、いくら手元に残れば安心か。先にこれを決めると、「返せる額」の上限が見えてきます。 確かめる場所:通帳・家計の記録
- 2ローンの残高と、いまの金利 金利のタイプ(変動・固定)と、いま何%か。 確かめる場所:返済予定表・金融機関からのお知らせ・ネットバンキング
- 3完済の予定と、契約の中身 何歳で完済する予定か。団体信用生命保険(団信)に入っているか。団信は一般に、万一のときにローンの残りが保険で返済される仕組みです。繰り上げで残高を減らせば、保険で返済される残りもその分小さくなります。保障の内容は加入している団信によって違うため、加入書類や借入先でご確認ください。※2 あわせて、返し方の種類(期間短縮型・返済額軽減型)、いくらから繰り上げられるか、手数料も確かめます。金融機関ごとに違います。 確かめる場所:返済予定表・ローンの契約書・団信の加入書類・借入先の金融機関
- 4家の「いまの価値」 1〜3と違って、ローンの書類にはふつう載っていません。とくに、住み替えや売却の可能性がある方の判断に関わります。 確かめる方法:このページの「家の価値の調べ方」
家の「いまの価値」が判断に関わる理由
繰り上げ返済の説明では、「残高」と「金利」の話が中心になりがちです。どちらも払う側の数字です。家にはもう1つ、「いまいくらで売れそうか」という数字があります。
理由1:家のうち「自分の分」の目安が分かる
家の価値からローン残高を引いた差が、家のうち「自分の分」の目安です。繰り上げ返済で残高が減ると、計算のうえではこの差が広がります。ただし、売らない限り、それを現金として使えるわけではありません。
いまどれくらいあるかを知ったうえで考えると、「どこまで返すか」「どれだけ手元に残すか」を決めやすくなります。
理由2:住み替えや売却の可能性があるなら、選べる道が変わる
通常の売却では、売ったお金でローンの残りを返します。そのため、価値と残高のどちらが大きいかで、取れる道が変わります。
| 価値と残高の関係 | 分かること |
|---|---|
| 価値が残高を上回る | この先、住み替えや売却を考えることになっても、ローンを返し切れる可能性がある。ただし、手元にお金が残るかどうかは、実際に売れた価格と、売るときの費用しだい |
| 価値が残高を下回る | 売るなら、足りない分を別に用意する必要がある。そのため、手元のお金の大切さが増す。同時に、残高を減らすことで差が縮まる、という見方もできる |
どちらの結果でも、繰り上げ返済をする理由にも、しない理由にもなります。大切なのは、どちらの状態なのかを知ったうえで決めることです。
理由3:家計の全体が見える
現金とローンだけで考えると、家計の一部しか見えません。家も含めて並べると、全体の中で手元のお金がどれくらいの割合なのかが見えてきます。判断の手がかりの1つになります。
この家にずっと住むつもりの方へ
この家にずっと住むつもりの方は、家の価値を調べる優先度は下がります。1〜3の材料(手元のお金・残高と金利・完済の予定と契約の中身)を確かめ、返し方の種類や手数料、控除を受けている方は控除への影響も確かめたうえで、判断してください。
誤解しやすいところ
「家の価値が上がっていたから、繰り上げ返済しなくていい」
こうはなりません。家の価値が上がっても、売らない限り、手元のお金は増えません。利息が減るわけでもありません。
また、繰り上げ返済の手続きに、家の査定は必要ありません。家の価値を調べるのは、決める前に材料を1つ増やしたい方のための、任意のひと手間です。
家の価値の調べ方は、3つあります
分かることと、不動産会社から連絡が来るかどうかが、それぞれ違います。
| 方法 | 分かること | 連絡 |
|---|---|---|
| 公的なデータを見る | 近い地域・広さの物件が、いくらで取引されたかの相場 | 来ない |
| 不動産会社1社に頼む | その会社が見たわが家の査定額(見込み) | 1社から |
| 一括査定で複数社に頼む | 複数社の査定額の幅(見込み) | 複数社から |
連絡を受けたくない方は、まず公的なデータで
次の2つは、名前や連絡先を入れずに見られます。相場をつかむだけなら、これで足りることもあります。
- 不動産情報ライブラリ(国土交通省)※5:地域ごとの取引価格や地価を、地図で見られます
- レインズ・マーケット・インフォメーション(不動産流通機構)※6:実際に成約した価格の傾向が分かります
ただし、公的なデータで分かるのは「その地域の相場」までです。築年数・間取り・日当たりなどを含めた、わが家そのものの売却の見込み額を調べる方法の一つが、不動産会社の査定です。査定額も見込みの一つで、その金額で売れると決まるわけではありません。
紹介しているサービスについて、正直に
なぜイエウールを紹介しているのか
このページで紹介しているのは、一括査定サービスの「イエウール」1つです。編集部がイエウールと提携しており、ここから申し込まれると、編集部に報酬が支払われるためです。他の一括査定サービスや、近くの不動産会社に直接頼んでも、売却の見込み額を聞くことはできます。
無料の理由と、来る連絡
イエウールは、無料で査定を依頼できるサービスです。公式サイトでは、無料の理由を「運営会社は提携している不動産会社から収益を得ているため」と説明しています。条件に合う不動産会社を、最大6社まで紹介する仕組みです。※7
そのため、依頼すると複数の不動産会社から電話やメールで連絡が来ます。これが無料の対価です。連絡が来ることが受け入れられない方には、この方法は向いていません。上の公的なデータをお使いください。
査定額は「その値段で売れる」約束ではない
査定額は、不動産会社が示す「このくらいで売れそう」という見込みです。会社によって金額に差が出ることがあり、高めの金額を示して契約につなげようとする会社もあります。金額を聞くときは、「なぜその金額なのか」(近くの成約事例など)も一緒に聞くと、比べやすくなります。
断り方(そのまま使えます)
査定を受けても、売る義務はありません。断って問題ありません。
- 「今回は参考に価格を伺うところまでで、売るかどうかはまだ決めていません」
- 「他社さんにも伺っています。決まりましたらこちらからご連絡します」
- 「連絡はメールだけでお願いします」
返済が今すでに苦しい方へ
毎月の返済が今すでに苦しい、遅れそうだ、という場合は、繰り上げ返済や家の査定より先に、借入先の金融機関に相談してください。
返済期間の延長や、一定期間の返済額の見直しなど、返済方法の変更を相談できる場合があります(審査があり、総返済額が増えることもあります)。返済が遅れる前に相談することで、対応の方法を一緒に検討できる場合があります。
- 金融サービス利用者相談室(金融庁)※8
0570-016811(平日10時〜17時) - フラット35をご利用の方は、住宅金融支援機構の「月々の返済でお困りになったとき」※9に、返済の相談についての案内があります
この状況の方には、このページの査定ボタンはおすすめしません。
住み替えや売却の可能性があり、わが家の見込み額も参考にしたい方へ
査定は、判断材料を増やす方法の一つです。ボタンを押すと、次のように進みます。
- イエウールの入力ページに移ります
- 住所・家の種類・広さ・築年数などを入力します(分からない項目は、入力画面の案内に従ってください)
- 名前と連絡先を入力します。依頼後、複数の不動産会社から電話やメールで連絡が来ます
査定額は参考の見込みです。査定を受けても、売る義務はありません。
よくある質問
売るかどうか決めていなくても、査定を頼めますか
イエウールの査定は、売却を検討している方向けのサービスとして案内されています。※7売る予定がまったくない方は、まず公的なデータで相場を見る方法があります。住み替えや売却の可能性があり、参考に見込み額を知りたい方にとっては、選択肢の一つです。査定を受けても、売る義務はありません。
ローンが残っている家でも査定できますか
ローンの支払い中でも、売却を相談することはできます。※7通常の売却では、引き渡しの日に、売ったお金などでローンを返し終えて、金融機関の担保(抵当権)を外す手続きをします。売ったお金で返し切れない場合は、借入先の金融機関にご相談ください。
繰り上げ返済と借り換え、どちらがいいですか
状況によって変わるため、このページでは結論を出しません。借り換えは、金利の差・残りの期間・残高などで効果が変わり、手続きに費用もかかります。迷うときは、借入先の金融機関や、ファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。
金利はこれから上がりますか
将来の金利は誰にも分かりません。日本銀行の金融政策の決定内容は、日本銀行のサイトで公表されています。ご自身の金利がいつ・どれだけ変わるかは、契約内容や金融機関によって異なるため、返済予定表や金融機関からのお知らせでご確認ください。
家の価値を調べたら、繰り上げ返済の答えが出ますか
答えそのものは出ません。分かるのは、判断の材料が1つ増えることです。手元のお金・金利・完済の時期と並べて、ご自身で決めてください。
まとめ|あなたの次の一手
繰り上げ返済の答えは、人によって変わります。このページは、勧めも止めもしません。上から順に見て、最初に当てはまったものが、あなたの次の一手です。
- 1返済が今すでに苦しい・遅れそう 繰り上げ返済や査定より先に、借入先の金融機関に相談してください。
- 2この家に住み続けるつもり 家の価値は急がなくて大丈夫です。手元の書類で材料1〜3を確かめ、借入先で返し方の種類・いくらから繰り上げられるか・手数料(控除を受けている方は控除への影響も)を確かめてから決めてください。
- 3住み替えや売却の可能性がある。まず相場だけ知りたい・連絡は受けたくない 公的なデータで、近くの取引価格を見てみてください。名前や連絡先は要りません。
- 4住み替えや売却の可能性がある。わが家の見込み額も参考にしたい(複数社からの連絡を受けてもよい) 一括査定は、そのための選択肢の一つです。査定額は見込みで、その金額で売れると決まるわけではありません。
4に当てはまった方は、こちらから。
わが家の査定額を無料で確かめる依頼後、複数の不動産会社から電話やメールが来ます。売る義務はありません。